公園を巡回中のロボットのカメラに、散らかったゴミが映り込む。ここで「ペットボトルを検出しました」で終わらせず、「これは片付けるべき状況だ」と理解し、危険を見つけ、次に何をすべきかを自分で計画する ― それが当社の 人工意識 AC(Artificial Consciousness) です。状況の認識から行動の判断までを、クラウドに一切つながず、手元のマシンだけ(完全ローカル)で実行します。
デモ映像
人工意識 AC とは ― 「認識」から「行動判断」まで
人工意識 AC は、カメラ映像を入り口に、次の流れを一貫して行います。
- 認識 ― 画像から「どういう状況か」をことばで理解する(VLM)
- 知覚 ― その中の「何がおかしいか(危険・異常)」を見つける
- 行動判断 ― 「どう動くべきか」を判断し、駆動系への指示としてタスクに落とし込む(LLM)
ポイントは、これらを現場判断に間に合う速さで、しかも完全ローカルで回すことです。
公園のゴミ散乱シーンで試す
2024年に行った実証と同じ入力画像を、現行のモデル構成で再実証しました。
ロボットには、次の設定を与えています。
- 公園を巡回中の自律サービスロボット(清掃タスク実行可、ゴミ捨て場の位置は既知)
- バッテリー残量 85%
- 制約: 18:00 までに帰還 / 完了時は人間に通知
この1枚の画像から、AC は状況を理解し、次のような行動計画を自分で組み立てます。
- バッテリー残量と帰還期限(18:00)を確認・記録する
- ゴミ捨て場へ向かう
- 通路のペットボトル・紙くず・段ボールなどを回収する
- 指定の場所で廃棄する
- 18:00 までに定位置へ帰還し、完了を人間に通知する
さらに AC は、なぜその順序なのか(例:「18:00 までに帰還」という時間制約が最優先で、これを守れないと業務が破綻するため)を説明し、完了したかを確認するチェックリスト(「ゴミ捨て場に安全に到達したか?」「回収したゴミを廃棄したか?」…)まで自分で用意します。
判断を5段に分けて実行する
AC の判断過程は、次の5ステージに分解して実行しています。1枚の画像から、状況の言語化・危険の抽出・タスクの計画・優先度の説明・完了条件の定義までを順に導きます。
デモではなく「評価」する
本取り組みの特徴は、「見せる」だけでなく「評価する」ことです。各ステージの出力を期待条件と照合して PASS / FAIL を自動判定し、必須要件(回収・廃棄・バッテリー確認・人間への通知)に欠落があれば、AC 自身に指摘して再計画させる自動修復ループ(生成 → 検証 → 修復)を備えています。本構成のまま繰り返し実行しても全ステージが安定して PASS することを機械判定で確認しており、「そう動く」ことを保証してから資料化しています。
完全ローカルで、リアルタイムに
AC は LLM・VLM を含めすべて手元の GPU 上で動き、クラウド API を使いません。処理は 1サイクルあたり約7秒(GPU 実測) ― 次世代 GPU ではさらに高速になる見込みで、ロボットの巡回・監視サイクルに組み込めるリアルタイム性です。クラウド不使用のため、低レイテンシかつオフライン/機密環境でも運用できます。
ドメイン特化にも対応
汎用モデルのままでなく、現場ごとの安全規則・業務手順・用語を AC に学習(ファインチューニング)させることで、その現場に合った判断品質を引き出せます。工場・施設・公共空間など、ドメインに特化した人工意識 AC を、同じ評価の仕組みで継続的に検証しながら提供できます。
実際にこれを行ったのが、人工意識に「危険を見抜く目」を与える(危険シーン約7,000件のデータセットを自作し、上図②「危険分析」を担う VLM を鍛えた回)です。危険シーン40枚のテストで、合格が 18→30枚(0.8B)に改善しています。
まとめ
- 画像1枚から、状況理解 → 危険知覚 → タスク立案 → 根拠説明 → 完了条件定義まで ― 人が細かく指示しなくても、ロボットが「次に何をすべきか」を自分で決めます。
- 完全ローカル・リアルタイム ― クラウド不要、1サイクル約7秒。
- 評価する仕組み ― 機械判定+自動修復ループにより、「そう動く」ことを保証。
- ドメイン特化 ― 現場に合わせてファインチューニング可能。
人工意識 AC は、目の前の状況を理解して自律的に判断する ― その一歩ずつを、実データと評価で着実に積み上げています。